世界で水に次いで消費されている飲料のお茶。数千年以上にも及ぶその長く複雑な歴史は数々の文化で愛されてきました。抹茶の歴史は中国に始まり、仏教の普及とともに日本へと広がり、日本の茶事の中心的存在となりました。現在は世界中で愛され、21世紀で最も高く評価されている独特な嗜好品です。
当初の抹茶は私達が現在知っている物とは大きく異なり、今よりシンプルな物でした。6世紀初期の唐王朝では、仏教徒は茶葉を煎じてから砕き、熱湯を注ぎ蒸らし、最後に塩を一つまみ加えて準備されていました。宋王朝では、蒸気乾燥された茶葉に熱湯を注ぎ、それを混ぜていました。この手順は仏教徒の日常的な儀式となり、精力を促進させ、精神の鋭さを高める効果が豊富な抹茶は瞑想に最適な物とされました。
抹茶を嗜む儀式は1191年頃に明菴栄西により日本に紹介されました。栄西は、自身のお茶に関する初の論文である喫茶養生記に、健康的な要素を多く含む抹茶を「不老不死の万能薬」と記し、日本国民が日常的にこの習慣を行う事を推奨しました。
嗜好品より薬用的な利点がある事で広がった抹茶は当初苦味が最大の特徴でした。 しかし、15~16世紀に収穫までの20~30日間チャノキを日陰に置くと旨味が際立つ茶葉が収穫できるという手法が偶然発見されました。時とともに茶葉の製法はどんどん進化し、19世紀初期には、現在と変わらない滑らかで芳醇な味わいの抹茶を作る事が可能になりました。
今まで抹茶は日本独特の文化でしたが、現在では世界中で愛されています。数百年前に日本仏教と深く結びついている文化であったからこそ、現在親しまれている抹茶に出会うきっかけになりました。