Matchæologist®のプロダクトにとって重要なデザイン。現在のデザインになった道筋を紐解いてみたいと思います。
そもそも「デザイン」とは何でしょう。
自然をよく観察していると、デザインの在り方が見えてくるような気がしていますが、皆さまはどうお考えですか?
自然界には多様な形をした植物たちが生息しています。彼らは森や砂漠、あるいは道端で生き残り成長し、そして繁栄していくために様々なシステムをその身体に持ち合わせており、そのシステムそのものが植物のカタチとなっています。例えば、観葉植物でよく見かけるモンステラ。葉に深い切れ込みや穴が開いていて特異な形状をしています。その切れ込みや穴は、風によって葉が切れてしまわないためのものです。また、砂漠という過酷な環境下に存在しているサボテンは、細かいトゲをまとうことで灼熱から身を守っています。他の植物たちもそのように、目的を達成するための機能がそのまま形状になっているのです。
とすると自然界にある「カタチ」というのは本来、機能に即したものであると言えるのではないでしょうか。建築家のルイス・ヘンリー・サリヴァンの「形態は機能に従う/Form ever follows function」という言葉も有名ですがそのとおりかもしれません。
植物のカタチには一切の無駄がなく、装飾もありません。同様にMatchæologist®のプロダクトデザインも、現代的な生活の中でどのように機能するかを徹底的に追求し、茶室での抹茶体験のエッセンスをいかに現代のライフスタイルに組み込むか、というところから設計した結果の表れなのです。
現代の生活ではキッチンやダイニングでコーヒーと同じように準備できることが抹茶を日常的に召し上がっていただくための重要な条件の1つと考えています。大きな器でも小さな器でも、大体茶葉は約2g、そして70ml~80mlのお湯を使用します。そこから、掌に納まりモダンなキッチンの棚にも馴染む抹茶1杯分のサイズの器に。ホットでもアイスでも問わずに使用できる素材を採用しています。茶せんは口径の小さな器に最適化したマドラータイプでマグカップにも使用可能。茶缶は飾り気のない工業製品の様な素材をそのまま生かし、インダストリアルでシンプルな佇まいです。このようにして私たちのプロダクトは、必要最低限のミニマルなスタイルを実現しました。
ところでもう一つ重要であり非常に哲学的な要素、「美しさ」とどう向き合うか。この問題もとても大切です。しかし最終的に美しさも結局、前出のサリヴァンのいうように機能を追求していくことで自ずと決まっていくものなのかもしれません。機能に即した色や配置。ただただ自然の導線を探り当てることが美と出会うことにつながるのかもしれません。