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Interviews:#2 中井 波花(陶芸家) "思考の堆積が生み出す新しい陶芸"②

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この度Matchæologist®はブランドと通底するミニマルで落ち着いた、穏やかに静かに躍動するアートやアーティストをフィーチャーし、皆さまにMatchaを飲んだ後のような心地良さを感じていただけるメディアを茶の湯にまつわるアーティストプロデュースを手がける"無茶苦茶"とスタートすることとなりました。

2人目のアーティストは素材を再解釈することで新しい造形表現を追求する陶芸家の中井波花さん。伝統的な素材や手法を用いながらも、新たな視点から生み出される唯一無二の作品とその思考について迫りました。

前回の「心理学、海外、そして陶芸へ」はこちら

 

既存概念を覆すニュースタイルの確立

ー陶芸を始めてから現在のスタイルに至るまでにどのような経緯があったのでしょうか


当初は陶芸家は日用品としての器を作って売る、という暮らしをするものだと思っていました。でも制作を続ける過程で、例えば食器を作ろうと思って釉薬を調合した時にもう食器としては使えないけれど質感がとてもかっこいい表情をしていたり、焼いてみたら思いもよらない不思議な形状に変わった光景を目の当たりにしました。実用性という点では不十分かもしれない。でもその佇まいこそが“焼き物ならではの美しい姿”であると感じ、私が突き詰めたい作品はこれだと思いました。

「焼き」という現象の面白さは初期の頃から感じていた一方で、不意に“できてしまった”表現もたくさんあります。それをアートピースと呼ぶには浅はかで、現象を引き起こす何らかの新しい技法や意図がないと作品として成立しないと考えました。例えば手捻りの際に薄く伸ばす事で、熱での変化を起こしやすくしようとか、重力に逆らうような動きを取り入れてみようとか。とにかくトライアンドエラーで色々な事を試しました。試行錯誤を積み重ねる中で素材一つを選ぶ時にも「なぜ私はこの土を選んだのか」を考える。その時は理論から入るのではなく、かっこいいとか、なんか好きとか、まずは感覚を優先します。そこから「好きと思ったのは何故なのだろう」と改めて素材を見つめ直す。そこで初めてこの素材は何からできているのか、白磁ってどういうものだっけと対象物の印象を深堀りしながら過去の経験や新しい見識と紐付けて理論として整理します。目には見えない感覚に対して仮説を立てながら答えを導き出すというプロセスが私の制作スタイルであり、これは大学時代に心理学で培った考え方でもあります。


ーご自身のテーマとしている「陶芸素材の再解釈」について詳しく教えてください

発想の根本を素材から見つめ直した時に辿り着いたのが土と釉薬でした。ひと口に土や釉薬と言ってもそれ自体が多くの物質から成り立っています。さらに私はそれぞれを従来の役割として区別するのではなく、焼き物を構成する「素材」としてフラットに捉え直し、細かくフォーカスすることで様々な表現ができるのではと考えました。例えば釉薬は色彩的な効果を与える装飾的な役割を果たしたり、実用面においては耐水効果を期待して使われるのが一般的です。私の場合、釉薬は土よりも熔けやすいものと再解釈する事で現在の作品を作っています。同じ素材でも考え方を変えるだけで全く異なるものができる。常識とされていた関係性を一度クリアにして再構築することが独自のスタイルとなっていきました。

素材の次は形にも着目しました。土と釉薬という素材で起こる現象にとって既存の「器」という形状が最適な形なのだろうかと。底をなくしたり、ドローイングのような複雑な形に成形したり、通常とは異なる向きで焼いてみたり。実験してみると色々な発見があるんですよね。例えば割れ目を作る時は、亀裂を入れる位置はコントロールできるけれど深さは窯を開けてみないとわからないんです。コントロールできる部分とできない部分があり、陶芸は陶芸家だけで完成することはなく素材や窯も含めた関係性の中で生まれるものなんだなと実感しています。作家、素材、焼成が各々の全力を出してバランスの取れたところが最も健康的なクリエイションなんじゃないかなと。そして最終的に出来上がった作品の意図をわかりやすく伝えるのが作家である私が介入する意義だと考えています。


ー形だけではなく作品名にも特徴がありますがどのように考えているのでしょうか

記号や符号的な意味合いでつけることが多いです。例えば「膜」というシリーズではそのまま膜のように薄い。膜が外側と内側の最小限の境目のように、土も存在する事のできる最小限にするようにと名付けました。

「骸」というシリーズも骸骨の意味よりも、太い大木が朽ちた時の表皮を骸と呼ぶのですが、形骸化という言葉のように中身のない表面だけ残るような薄さ、残った物がより強く本来あったものを想起させるなという気づきが面白く作品とリンクしたのでタイトルにしました。あとは土という側面から地層用語を調べて気に入った単語を書き留めています。作品ができたら、もう一度その言葉を調べ直し、意味が合えば採用します。また字面もとても大切にしています。文字で書いた時に漢字でも英語でもかっこよくないと嫌なんです(笑)例えばなんて事ない石だけどフォルムが美しいとか、使い絞り切られたボンドのシワや形状がかっこいいとか。直感的に良いと思う感覚は私のクリエイションの核になる部分です。一方でなんとなくだけでは中身がない。当初、作品の説明をすることを避けてきたのですが、説明することで私の感覚をより深く理解し共感してもらえるのはとても嬉しいことです。

次回「感情が迸る先へ、まだ見ぬ陶芸を目指して」へ続きます。


【Profile】

中井 波花 / Namika Nakai

1993年北海道札幌市生まれ。多治見市陶磁器意匠研究所修了。陶芸において、ごく当たり前に使われる土と釉薬を、融点の異なる陶芸素材と再解釈しやきものの新しい表現を追求。歪みやひび割れを用いた、力強さと繊細さが共存するアンビバレントな美しさを表現している。
https://www.instagram.com/namika_nakai

株式会社 無茶苦茶(Mucha-Kucha Inc.)

"Respect and Go Beyond"をミッションに既存概念に囚われず「茶の湯」の新たな可能性を探求する新進気鋭のアーティストのプロデュース&マネージメントを行う。https://mucha-kucha.co.jp/

2022 5月, 09
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