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Interviews:#1 Ray Kunimoto(Artist) ”音で美意識を哲学する“②

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この度Matchæologist®はブランドと通底するミニマルで落ち着いた、穏やかに静かに躍動するアートやアーティストをフィーチャーし、皆さまにMatchaを飲んだ後のような心地良さを感じていただけるメディアを茶の湯にまつわるアーティストプロデュースを手がける"無茶苦茶"とスタートすることとなりました。

 記念すべき1人目のアーティストは「音」を自在に操る現代アーティストの Ray Kunimotoさん。
「静寂」をテーマに創作活動をする氏が考える日本的美意識、茶の湯との関わり、そしてアーティストして目指す境地とは。

前回の「音楽との出会いと日本文化への回帰」はこちら

 

「静寂」を哲学する


ー異国の地で再認識した日本文化の存在。ご自身が考える日本文化の魅力とははなんでしょうか。

日本とひと括りにしても時代によって文化やイメージ、価値観が全く異なるので一概には言えないのですが、取り分け僕の中でマイルストーンになっているのが戦国時代から安土桃山時代にかけての千利休の美学です。

少々乱暴に定義すると、現存しているほとんどの日本文化は海外の模倣とも言えます。例えば神道は、当時仏教が伝来した時に中国の文化に対抗するために仏教を強く意識してつくった文化だという説があります。そういった背景があるので歴史的に純粋に日本のオリジナルとして醸成されている文化はほとんど残っていないと考えています。

ただ、千利休が見出した「見立て」や「侘び寂び」のように、様式ではなく形のない美学という哲学的な方向で文化を再構築していくところが日本文化の魅力であり僕自身も非常に興味を持っています。

現代美術も、西洋から来たものなので西洋のルールのようなものやフォーマットがあるのですが、それをどう再解釈できるかという応用の部分こそ、日本の文化を参照して表現できることが多いと思っています。



ー本メディアのテーマになっている「茶の湯」も日本文化の1つです。茶の湯に対するイメージや印象はありますか。


まず抹茶や日本茶を含めた日本のお茶文化という視点だと中国茶やワイン、ビールなどの海外文化と比較すると、飲み物のマテリアル自体に特化して醸成された文化ではなく、器であったり飲み方であったり、あるいは空間であったり、お花であったり、というような複合的な要素のひとつのハブとして位置しているというのが特徴だと思います。

コーヒや紅茶と比較すると、サーバーやポットに多めに淹れて複数名でシェアしながら親密さを表現するのに対し、茶の湯の抹茶は目の前のひとりのために点てる一方的なおもてなしを表すので、インターフェースの違いもあると感じています。

このようにただの飲み物ではなく、お茶自体を知れば知るほど付随する様々な意味や背景にアンテナが広がる。日本文化を知るための入り口みたいな感覚があります。なので手がける作品にも日本の茶の湯的なエッセンスが自然と入ることもあります。



ー創作のテーマである「静寂」にも茶の湯にある禅的なエッセンスを感じるのですが、表現したい「静寂」とはどのような状態なのでしょうか。


静寂という哲学が非常に広い概念のためにアウトプットや表現の幅が常に変化します。それを踏まえた上で話すと現在モチーフとしているのは「雨」です。


音響心理学でマスキング効果というものがあり、周波数レンジが広いノイズにさらされるとそれ以外の周囲のノイズが聞こえにくくなるという現象があります。

例えば、カフェで友人と話している時に周囲の人の会話が聞こえにくいのは店内のBGMや騒音によってマスキングされるからなのですが、雨も同様のマスキング効果を持ちます。雨が降ってると街中の喧騒も静かに聞こえたり、例えば海とか滝の前でザーっという大音量のノイズに曝されると、相対的に非常に心身が静寂な感覚になるという現象に着目し、作品としての表現を試みています。

ノイズというものは音響的に考えると静寂とは相対するものですが、発想の逆転で、音としてはノイズだけどそれを静寂に転換できるかというところに興味があります。

昨年夏に千葉県幕張市にある日本庭園内の茶室で展示をした非常に小さな水滴音が響く「SHIZUKU - SHIRO」という作品も、小さな水滴音をちゃんと聞こうとすると耳が顕微鏡のようにフォーカスされる感覚になり、音のディテールを聞けば聞こうとするほど、他の背景音が聞こえなくなる感覚があります。まさに雑踏の中に“小さな音”をちょっと置くことで広がる静寂な世界がある、ということを表現したかった作品です。


茶の湯に関連すると、いけばなの哲学では「虚実当分」という考え方があります。意味としては花や枝といった在るがままの美しさ(実)と花を切ったり枝を曲げたりしながら余白をつくるような手を加えた意図的な美しさ(虚)を同じ価値として扱うという考え方です。

先ほどの水の話にも共通するのですが、水と空間の間でどう自然の状態と手を加えた作為的な状態を表現できるかという部分は虚実当分に非常にインスパイアされています。

 

次回「日本というアイデンティティを通して人類の可能性を拡張する」に続きます

 

 

【Profile】
Ray Kunimoto / 國本 怜

1991年NY出身、東京育ち。2017年に渡米した後、2021年より日本在住。
慶應義塾大学文学部美学美術史専攻卒業。

独自の立体音響システムやテクノロジーを駆使し、体験者の振る舞いと空間を密接に関係させるインスタレーション作品を制作する。

「静寂」をテーマに日本の伝統的美意識と現代のテクノロジーを結びつけ、サウンド制作やエンジニアリング、彫刻、空間設計など様々な領域を横断し、新しい音響体験を提示する。日本、アラブ首長国連邦、台湾、アメリカをはじめとし世界各地でサウンドインスタレーション作品を発表、ライブパフォーマンスを行なっている。https://www.raykunimoto.com/

 

株式会社 無茶苦茶(Mucha-Kucha Inc.)

"Respect and Go Beyond"をミッションに既存概念に囚われず「茶の湯」の新たな可能性を探求する新進気鋭のアーティストのプロデュース&マネージメントを行う。https://mucha-kucha.co.jp/

2022 3月, 27
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